②エーミング作業を始めませんか?エーミングの種類と必要な設備【整備工場・自動車ガラス業者様向け】

エーミング

岡山エーミングセンターの林です。当社のブログをご覧いただきありがとうございます。まだエーミングを始めませんか?①をご覧になっていなければ、ぜひそちらからご覧ください。エーミングを始める前に整備要領書の確認が最重要だと考えているからです。どうぞよろしくお願いします。

さて今回は、国産車で実際にどんなエーミングがあるのか、それにはどんな機器をそろえればよいのかについて書いていきたいと思います。漠然と高額な印象で、何から揃えたいいのかわからないって方々がほとんどではないでしょうか。そんな疑問に少しでもお役に立てたらと思っています。

特定整備に該当するエーミングについては、2024年4月から国の特定整備認証(電子制御装置整備)が必要になります。

基本は純正ターゲット

当社への一番多いお問い合わせは、ターゲットはどうやって揃えるんですか?です。

ホンダのカメラ用の丸いターゲットはどこで購入したんですか?マツダやスズキの360度モニタの黒い●が8個あるターゲットはどうやって作りましたか?という感じです。

当社では、「整備要領書で指定されているもの(純正品)はそれを使用」し、「作成して使用するものは作成しています」とご案内しています。

フロントカメラのエーミングで、アイサイトやスズキ・ダイハツなどのモザイク模様の大きなターゲットや、ホンダの丸いターゲットは純正品番も記載されています。中にはこれらをコピーなどで複製して使用している方もおられるようです。
整備要領書記載以外のものを使用することは、たとえエーミングが完了したとしても保証の問題を含め、ADASの誤作動が生じたときにお客様が危険な状況になり兼ねませんし説明もできません。当社では、ミリ波レーダの三角ターゲットや平面ターゲットを含め、強く純正をお勧めします(汎用品でもメーカー推奨であればこの限りではありません。)

また、カメラのターゲットで、トヨタ・日産などターゲットサイズなどを記載してあって、自身で作成可能なターゲットもあります。この作成して使用するターゲットについては汎用品で販売されているものもありますので、整備要領書でターゲットサイズを確認し使用しても問題ないと考えています。作り方は以前のブログを参照してください。

基本的な設備(必要なもの)

エーミングに必要な設備個別のエーミングターゲットは下方項目で記載します。ここでは、基本的にターゲット以外に必要なものをご案内します。

スキャンツール・診断機

特定整備認証基準にも入っていますが、エーミングには必須な設備です。

メーカー純正の診断機、もしくは汎用の診断機が必要になります。岡山エーミングセンターでは、ツールプラネットのTPM-5をメインに使用していますが、国交省のHPにも案内がありますので参考にしてください。こちらから→

診断機は、常に最新の情報にアップデートしておくことが大切です。対応していないエーミング項目も、アップデートで対応できる場合も多いです。

また、エーミングターゲット位置のデータが入っている冊子などもあり便利ですが、私は、整備要領書を確認の確認を強くお勧めします。

床面にマーキングするときに必要なもの

最近はセットで販売されている業者さんもいらっしゃいますが、ホームセンタなどで十分購入できるものばかりです。

マスキングテープ

水糸

降り下げ(おもり付き水糸)

スケール・コンベックス

水準器

ターゲット設置や測定に必要なもの

スケール・コンベックス

デジタル角度計

デジタル角度計は任意の物でOKです。ソナー計測用のアタッチメントをつけて計測します。(写真はスズキ用です)

水準器

地面の水平度を計測するのにもしようしますが、ターゲットの水平・垂直などにも使用します。

ホンダ車やトヨタ車はレーダ自体の水平度を測るためにも使用します。水泡式で良いので、地面を測るものからレーダーに上に乗せる小さなものまで複数揃えておくと便利です。

降り下げ(おもり付き水糸)

ホワイトボード

整備要領書にも記載がありますが、ターゲットを貼り付けるために使用します。

脚付キャスター付きで、磁石貼り付け可能な物が良いと思います。新品である必要はありません。マーカー受けなど取外しできるものが良いと思います。

当社オリジナルのエーミングスタンドをはじめ、いろいろなスタンドが発売されています。このようなスタンドを使用すれば、より早くターゲットを設置できるかと思います。

その他・あったら便利なもの

レーザー墨出し器・デジタル距離計・エーミングスタンド・セリエの粘土板・H2ボード・1500x600以上の移動式壁(ソナーエリア検査用)・BSM角度測定スタンド・補助員さんなどなど

エーミングの種類とターゲット

2023年5月現在の車に装備されているADASの主なものとその機能を紹介いたします。各メーカーそれぞれ名称が異なりますので、私個人が思い込んでいる名称(笑)で記載いたします。

フロントカメラ

フロントガラス上方に装備されているカメラです。単眼カメラと複眼カメラがあります。走行中に車線・標識や障害物を認識し危険と判断すれは警告音で注意喚起し、更に危険と判断したら自動でブレーキをかけるシステムです。またレーンキープ機能でハンドルを操作する機能を持ったものもあります。

カメラですので、エーミングはカメラで認識できる専用のターゲットを使う場合(静的エーミング)と、走行エーミング(動的エーミング)または両方必要な車種もあります。どちらも整備要領書に記載があります。

専用のターゲットは、巨大なQRコードを使用する場合や100~200mmくらいのターゲットを自作可能なものもありますので、車種に合わせたものの準備が必要です。

展示会などでカッコいい高額のエーミングスタンドを見かけます。多くのメーカーに対応していて正確で早く設置できると思いますが、ほとんどがこのフロントカメラのエーミングに使用で、他のエーミングには使用しません。設備投資にお金がかかると思われている方が多いのは、このカッコいいエーミングスタンドのイメージがあるからではないでしょうか。

整備要領書では、移動式のホワイトボードにターゲットを正確な位置に貼り付けてエーミングをすると書かれている場合が多いです。ターゲットさえ準備できれば安価で設備が可能です。ただ、正確な位置に設置するのはかなり時間がかかる作業になります。トヨタの順次認識など、ターゲット自体を移動させるエーミングもありますので、正確に設置できるかは技術が必要になります。

ホンダ車のカメラエイミングは、ライトテスタを使用して作業と記載があります。実際に車検の検査ラインで数度実施しました。各タイヤ上部に降り下げ装着し、ライトテスター前にミリ単位で車を正確に移動させるだけで、リアルに3人で2時間以上かかりました。そこからのエイミングとなると相当な時間がかかります。ミリ単位の精度にも不安がある事から、ライトテスタ使用とは記載されていますが断念し、現在はより正確にエーミングを実施するために、当社のオリジナルターゲットスタンドで実施しています。(もちろんターゲットは純正品です)

ミリ波レーダー

ミリ波レーダは、バンパーについているものが多いと思いますが、ラジエターサポートについていたり、車の中心ではなくオフセットされているものもあります。
ターゲットは、三角すいのターゲットや、平面のターゲットで。各メーカー指定のものがあります。
また。走行エーミング(動的エーミング)でできるものもあります。

ターゲットを使用する場合、岡山エーミングセンターでは、各メーカーの純正品を使用しています。整備要領書に部品番号など記載がありますので、ご準備ください。

汎用品も出ていますが、各メーカーが推奨している物を使えば問題はないと思います。

赤外線レーザー

フロントガラスや、フロントバンパーについているものが多いです。一見カメラに見えても赤外線レーザーだったってこともありますので、整備要領書で確認してください。

ADAS初期のダイハツ車・スズキ車・ホンダ車などによく使用されてる印象があります。

ダイハツ車では専用のターゲットがあります。

スズキ車は反射テープなどで自作するように書かれているものもありますし、デュアル・レーザーレーダでは、前方○○〇mmに車両を置いてエーミングするものもあります。

ホンダ車も前方にバンなどの車を置いて距離が誤差内かを測定するものもあります。

ソナー・ウルトラソニックセンサ

前後のバンパーについている丸いソナーです。比較的古い車にもついていましたが、現在の物は踏み違い防止でブレーキを聞かせたりするものが主流です。接近だけを知らせるソナーとは見た目には判断できませんので整備要領書を確認してください。

トヨタ車のウルトラソニックセンサは、スケールとデジタル角度計を用いて高さ計測し、取り付け角度を車に登録する作業があります。

スズキ車も高さと角度が規定値かどうかの確認が必要です。

ダイハツ車はソナーエリア検査で、ソナーから1mの箇所に壁を設置し通電しているかを検査します。

メーカーによっては、取り外し手順の反対作業で取り付けるなど、エーミングが不要な物もありますが、取付後、ソナーが機能しているかの確認は必要と考えています。

ブラインドスポットモニター(BSM)

運転席からの死角になりやすい箇所にレーダーを装備し、ドアミラー付近のランプで

リヤバンパーに付属しているものや、リヤバンパー奥のボデーについているものもあります。

レーダーの取付ブラケットに調整ねじがないものがほとんどで、レーダーが付いているパネルに変形があると、角度を計測しながら変形を修理する必要があります。トヨタ車では、整備要領書に角度の記載があります。マツダ車は角度の記載がなかったりしますので、その場合は反対側の取付角度を計測し対応しています。

ターゲットは、ミリ波レーダで使用する専用の三角すいや、マツダ車などドップラーセンサ(高額)を使用するもの。走行エーミング可能なものもあります。

マツダ車はバンパー交換でもエーミングが必要と記載されていることが多いので整備要領書を確認してください。

スズキ車は、「軽衝突でも…」の記載がある場合は、損傷個所に関わらず、エーミングが必要となる場合がありますので注意が必要です。

360度アラウンドモニター

ナビ画面や、ルームミラーなどに自車を真上から撮影したような映像を映すシステムです。周囲の状況がよくわかり大変便利な機能です。
フロントグリル・左右ドアミラー・バックドアにそれぞれカメラがあり、その映像を合成しています。

各カメラを脱着・交換したり、車高の変更をしたりすればエーミングが必要になります。

トヨタのアドバンスパークシステムでは、この映像を基に自動で駐車するシステムもありますので、しっかりと調整が必要です。

エーミング前に、どれくらいズレているのか確認する物も多いです。誤差以内でしたらエーミングは必要ありません。

スズキ・マツダ・ホンダ車のように黒い●のターゲットが必要な場合や、トヨタなどの指定位置にテープで線を引くものもあります。

これも整備要領書をしっかり確認して実行してください。

まとめ

漠然と高額投資が必要とお考えの方々に参考にしていただければ幸いです。各ツールの金額などはご自身でお調べいただきたいと思いますが。準備するものが多岐にわたるために、混乱しておられたかたも多かったのでないでしょうか。

確かに、カッコイイエーミングスタンドを導入すると高額な費用が掛かりますし、各メーカーに対応すしていて、便利です。ターゲットを正確な位置に早くセットできるメリットは大きいと思います。

当社オリジナルのエーミングスタンドを含め、多くはカメラのエーミングのみ対応しています。整備要領書に記載されてある通りホワイトボードなどでも対応できますのでチャレンジして頂ければと思います。

カメラ以外のエーミングにはご説明してきた設備が追加されますのでご参考になさってください。

先ずは、ターゲット不要で、診断機だけで完了する走行エーミングや、入庫の多いメーカーから順に初められてはいかがでしょうか?
トヨタの純正リフレクターなんかは、当社では使用頻度も多いですし、比較的安価なので導入しやすいかと思います。

この章でお伝えしたいことは、整備要領書を確認し正確なエーミングを実施して頂きたい事と、純正ターゲット指定とあるものは、安全面・保証の観点からも純正をお勧めしています。(メーカーが認定している汎用品はこの限りではありません)また、作業中の画像など、実施したエーミング作業のエビデンスも残しておいた方が良いと思います。

新しく必要な設備等あれば、またご案内できればと思います。

最後までご覧いただきありがとうございました。