【ホンダ車】エイミング前にアライメント点検していますか? 

エーミング

FAINES(整備要領書)を読み解く

運転支援システムの整備が当たり前になった現在、整備士にとって「エーミング」は避けて通れない作業です。しかし、**エーミングの前に“必ず確認すべきこと”**があるのをご存じですか?

今回は、ホンダ車の整備要領書(FAINES)に記載されている手順から、「マルチパーパスカメラ調整」に至るまでの流れと、重要な注意事項について解説します。


◆ 運転支援システムの構成と整備確認手順

ホンダ車では、以下のような流れで診断・整備を進めていきます。

  1. 運転支援、SRSエアバック、シートベルトの確認
  2. 速度/車体制御の確認
  3. CMBS(衝突軽減ブレーキ)の診断
  4. マルチパーパスカメラ調整(走行エーミング)
  5. マルチパーパスカメラ調整(静止エーミング)
  6. マルチパーパスカメラのエイミングを行う前の注意事項の中に記載

この順序を追っていくと、最終的に「マルチパーパスカメラのエーミング作業」へ進みます。


◆ エーミング前に必要な“見逃されがちな一手間”

整備要領書には、重要な注意事項が明記されています。

「車両に衝突した形跡がある場合には、マルチパーパスカメラのエーミング前にホイールアライメントを点検すること」

つまり、事故車や衝撃を受けた可能性のある車両では、エーミングの精度以前に“アライメントがズレていないか”をチェックする必要があるということです。


◆ なぜアライメント点検が必要なのか?

マルチパーパスカメラは、車両の正確な“直進性”を基準にキャリブレーション(校正)されます。
アライメントが狂ったままでは、いくら正しくターゲットを設置しても、カメラが誤った方向を向いたままになるリスクがあります。

このままエーミングを行えば、運転支援機能が誤作動する恐れもあり、重大なトラブルにつながる可能性も…。


◆ 現場でできる確認ポイント

  • フロントや足回りに衝突歴がないか確認
  • 車体側の数値をもとに、簡易的なトー確認(ターゲットを使う前に)
  • アライメントがズレている場合は、先に修正してからエーミングを実施

◆ 最後に:整備の質を高めるために

“ただエーミングするだけ”ではなく、車両の状態を正確に把握することが、真の意味での整備だと考えています。

FAINESに示されたこの注意書きは、ホンダが重要視している「整備の前提条件」を明確にしている証拠です。

エーミング前のアライメント確認、ぜひ現場で実践してみてください。