【先進安全装置搭載車】のフロントバンパー交換作業をやってみた!

エーミング

今回は先進安全装置搭載のバンパー交換に伴う、電子制御装置のエーミング(校正)作業を実際の作業を通じて解説していきたいと思います。

フロントバンパーに装着されている電子制御装置

今回は、トヨタCーHRのバンパー交換に伴う電子制御装置のエーミングについて、書いていこうと思います。

このおクルマのフロントバンパーに搭載されている電子制御装置は、以下の3つです。

フロントバンパ搭載の電子制御装置

1・ミリメータウエーブレーダセンサ(ミリ波レーダー)

2・ウルトラソニックセンサ(ソナー)

3・パノラミックビュー・フロントカメラ

これらを正確に校正していく必要があるんです。

確認を怠り、誤った角度で取り付けられていたとしたら、誤作動を起す原因になります。予期せぬ時に急ブレーキなんてことも…

作業の前提として、タイヤの空気圧の確認。作業場の水平は確認しています。

では、個々にどんな作業が必要なのか見ていきましょう!

ミリメータウエーブレーダセンサ(ミリ波レーダー)の校正

ミリメータウエーブレーダセンサ(以下ミリ波レーダー)の公正は、車両中心線上の指定された距離に、指定された高さのターゲット(リフレクター)を設置。

当社では、ターゲットを正確に設置するために次のような方法で実施しています。

ターゲット高さ

エンブレムにマスキングテープを貼り、中心に印をつけます。

水平機能のあるレーザー墨出器をジャッキの上に乗せてジャッキアップしながら水平線を合わせます。

そのラインにターゲットの中心がくるようにターゲット高さを設定します。

従来ですと、ターゲットの中心高さをメジャーで測っていましたが(修理書にも記載あり)目線の高さによる設定では、作業者の目線で設定高さが異なる事がありました。

車両中心線

修理書に書かれている糸で墨出する方法もありましたが、当社ではレーザー墨出器を使用して車両中心線を出しています。このやり方は一人で作業出来て早いので採用しています。

更に、レーザー墨出器の垂直線が、ターゲットの中心を通るように設置することにより左右のズレも正確に設置できるメリットがあります。

車にターゲット位置を設定

ターゲットを正確な位置に設置後、クルマにスキャンツールを接続してターゲットのズレ量を計測し校正をします。

ウルトラソニックセンサ(ソナー)の設定

バンパーについている丸い〇ソナーは、従来は障害物が近づくと音で知らせてくれるものでした。

しかし、近年のソナーは障害物を感知し、危険な場合にはブレーキをかけてくれる機能を有しているものも多いんです。

先ずは全てのソナーの高さと取付角度をそれぞれ計測します。

修理書を確認して、それぞれの高さと角度が規定値内かを確認。

クルマにスキャンツールをつなぎ、それぞれのソナーの角度を入力していきます。

最後に、書き込みをする数値をもう一度確認し、登録を行います。

これで完了です。

パノラミックビュー・フロントカメラ

トヨタ・パノラミックビューなど、クルマの周辺を上空から見えているような360度モニターの装着したおクルマが、最近よく入庫するようになりました。

フロントグリルやバンパー・左右ドアミラー・バックドアなどに装着されているカメラ画像を合成して一つのモニターに映し出す仕組みです。

これらのカメラは、フロントバンパーや、ドアミラーを脱着しただけで、カメラ位置の位置がずれてしまう可能性がありますよね。

そのまま納車しちゃうと、今まで見えていた各コーナー部分に死角が発生したり、アドバンスドパークなど、自動で駐車枠に入れてくれる機能にも影響が出ちゃいます。

見積の第一歩として、お客様に360度モニターが装着しているかの問診はもちろん、実際にドアミラーの下側を覗いて確認することは必須になります。

初めにズレているかを確認するために、ターゲットボードを設置します。

修理書では、床にガムテープなどで決められた位置にマーキングすると書かれていますが、

当社では、予め専用のボードを自作しそれを動かすことにより、早く設置ができる準備をしています。

位置出しには相当な時間が掛かりますが、当社独自のノウハウもあるので、ここでは割愛いたします。

クルマのナビ画面を、メンテナンスモードにし、ズレ量を把握します。

この場合は、フロントのカメラ位置を下側にずらして行ってターゲットが正常に映るように設定しました。

最後に登録をして、設定完了です。

いかがでしたでしょうか?

フロントバンパー交換でもこれだけの電気制御装置の校正が必要になります。

もちろんレーダーやソナーの校正作業(バンパー自体の取替作業含む)は、2020年から新設された特定整備に該当しますので、国交省の特定整備認証を持った工場での施工が必須にになりますね。特定整備記録簿の記載も必要になります。

ご紹介したこれらの作業を正確にやっていないと誤作動の原因になりかねませんので、整備業者さんも注意して作業してくださいね。

それでは、今回はこの辺で。

最後までご覧いただきありがとうございました。